5歳  

姫の誕生日。
彼女は、5歳になった。
ひとつお姉さん、そう思っているようで、
それでもやっぱり子供だったりする。


いろいろな状況が重なって、
家で誕生日会が出来ない。
彼女にとって、誕生日にケーキのないのは
初めての経験だと思う。


でもわかっているのか、何も、そのことに触れない。
プレゼントは服ばかりになってしまったけど、
それも特別、何も言わない。
ただ、ディズニーのものだけは、ずっと持ち歩いてる。
子供のおもちゃ、なのだけど。


本当は、何か言いたいんだろうな?
僕は、そう思っている。
そうだと、感じている。
周りの大人は、どうだろう?


もうしばらくして、ゆったりできる時がきたなら、
なんでもない日に彼女にケーキを買おう。
「何にもない日に、おめでとう!」って。
生きていること、生かされていること、
一緒にいることに、普通に感謝できるように。